有島武郎の代表作の一つ、『或る女』の内容を3分程度(1700字)で読めるようなあらすじにしました。
名作を知識として知りたい、近代文学は好きだけど種類を読んでいるかと言えば自信がない、というかたは多いと思います。
そのような場合の参考にしてください。基本情報についても載せています。

完全にネタバレ有のあらすじになります!ご注意ください。
有島武郎『或る女』基本情報
『或る女』作品情報
ページ数 | 前編…152ページ 後編…210ページ (AmazonのKindle青空文庫版による) |
初出と経緯 | 1911年1月~1913年3月に『或る女のグリンプス』を雑誌「白樺」にて連載。 その後、1919年に『或る女のグリンプス』を改稿して前編とし、後編は描き下ろし、『有島武郎著作集』のうちの2巻として叢文閣より刊行。 |
主な登場人物・モデルとなった人物
- 早月葉子…主人公。20代半ばの美人。
- 倉地三吉…葉子の乗った船・絵島丸の事務長。妻子がいる。葉子と恋に落ちる。
- 木村貞一…葉子の婚約者。アメリカで事業を興そうとしている。
- 岡…アメリカに向かう途中の留学生。葉子と同じ船に乗っていた。
- 田川夫妻…葉子と同じ船に乗っていた夫婦。夫は法学博士。
- 木部孤笻…葉子の一番目の夫。
- 早月愛子・早月貞世…葉子の妹たち
この小説は、実際にあった出来事をモデルにしています。
葉子のモデルは国木田独歩の最初の妻・佐々城信子です。この船の出来事は「鎌倉丸の艶聞」として実際に新聞記事になっています。
佐々城信子は71歳まで生きているので、その後の話の展開はオリジナルだと思います。
有島武郎『或る女』3分でわかるあらすじ
美しく恋多き女 早月葉子 アメリカへ向かう


早月葉子は、米国に向かう船に乗っていた。
彼女は20代半ばで美しく、恋多き女だった。
男は、恋の始めにはいつでも女性を祭り上げ、ある機会を絶頂に突然女性を踏みにじる。
こちらからそれを逆手に取り、振り捨てる。
反対されると恋は燃え上がる。そして、冷めてくると相手の男が急につまらなく見える。
葉子はすでにそのようなことを知っていた。
世間と繋がって生きるための結婚


葉子が船に乗ったのは、米国に住む木村という男と結婚するためだった。
葉子の結婚は二度目になる。一度目の結婚は、葉子が二か月で家を出て終わっている。
その時葉子のお腹には子供がいた。けれど葉子は元夫に内緒で子供を産み、子供は婆やに育てさせていた。
葉子は3人姉妹の長女だ。
葉子の母は、父と別居後、キリスト教婦人同盟の支部長として、華々しく活動をしていた。
木村はそんな母に気に入られた人物だ。
母は木村と結婚するようにいいつけて、亡くなった。
確かに今まで奔放に生きてきた葉子が、世間と繋がって生きて行くには、その方法しかない。
船上の人物関係 事務長の倉地との恋


船上でも葉子は注目の的だった。
葉子を慕う気弱そうな留学生の岡。
彼女の才覚を苦々しく思っている田川夫人。
そして、倉地事務長。彼を最初に見た時に、その野性味に葉子ははっとした。けれど倉地は葉子に無関心のようだった。
ある日、葉子は倉地の船室を訪れた。
部屋には彼の妻子の写真が飾られている。
その写真の前で葉子は倉地に野獣のように抱きしめられた。葉子はこれを期待していた。
木村との結婚を取りやめる葉子 日本に戻ることを決心する


葉子は自分が崖っぷちにいることは理解していた。そして日本よりも自由のある米国に行くことは、葉子にとって良いことだという思いもあった。
しかし、葉子は崖から飛び込んでしまった。葉子の目の前で今まで住んでいた世界はがらっと変わってしまった。
木村がどうした。米国がどうした。倉地さえ得られればいい。
船は米国に着いた。木村が迎えに来たが、子宮の病気を理由にして、彼女はそのまま日本に戻った。
船上での出来事が新聞記事になる


日本に戻ると、「事務長と婦人船客との船上での不倫」についての記事が新聞に載っていた。
田川夫人が書かせたのだ。悔しい。夫人はどこまでも執念深い女だ。
倉地は、この記事をきっかけに会社を辞めた。
二人だけの時間が流れた。
けれどいつまでもそのままというわけにはいかない。
妹たちとの同居 不穏な影
家を借りた。愛子と貞世の妹二人を呼び寄せた。
妹の手前、倉地は別の場所から家に通うことになった。
米国の木村からは、相変わらず葉子への愛を綴る手紙が届く。
葉子は考えた。倉地は仕事をやめてきっとお金に困っている。
葉子は木村にお金をねだった。木村にお金を要求するのは堕落だと思った。しかし葉子は倉地のためになんでもしたい。


16歳になった上の妹の愛子は、葉子と暮らすことで、洗練された。
船上で出会った留学生の岡も家に来るようになっていたが、その気持ちは葉子から愛子へと移っているようだ。
ある日、葉子は倉地が玄関から入ってくる音を聞いた。続いて、愛子の「いや」と小さく退けるような声も聞いた。
葉子は天地が崩れ落ちる気がした。倉地は酒に酔っているようだった。
葉子は急激に狂っていく


葉子は何かにつけてヒステリックになっていった。
あの船上での出来事から一年も経っていないのに、なんという変化だろう。
葉子は発作的に凶暴な振る舞いをするようになった。
そんな時、下の妹の貞世が腸チフスにかかった。
葉子は病院に泊まり込んだ。
きっとこの瞬間、家にいる愛子の元に倉地が通っているに違いない。


そして、貞世のわがままをきっかけにして葉子は錯乱した。
貞世をベッドから引きずり下ろす。倉地がそれを止める。
死に物狂いで襲いかかる葉子を、倉地はしっかりと抱きすくめた。
その後、倉地は、新しく始めた仕事が政府の眼につけられたと言って姿を消した。
木村からの送金も、しばらくない。
葉子 婦人系の病気で手術をする


葉子は、前からひどくなってきていた子宮の病気の手術をした。
手術後、子宮が痛む。「痛い痛い痛い……痛い」
魂をしぼり出すようにうめく葉子の悲しげな叫び声は、病室でいたましく聞こえ続けた。
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『或る女』の感想・名言



最後に『或る女』から名言を1つご紹介します。
神は悪魔に何一つ与えなかったが Attraction だけは与えたのだ。
葉子の婚約者の木村の友人である古藤が、葉子について語った場面です。
Attractionはの意味は「魅力」です。(この小説、たまに英語が出てきます)
葉子は世間から見れば善ではないです。奔放で考え方は独特です。
それは憎むべきところだけれど、彼女なりの筋と一途さがあって、なぜか惹きつけられます。
教訓というよりも、性格に激しさがある女性の感情、落差やもがきをドラマチックに追体験できる小説だと思いました。
また、葉子の母→葉子→愛子と時代が移り変わっていくことにも考えさせられます。



ここまで読んでいただきありがとうございました!
こちらも3分で読めるあらすじです。


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