先日「文学好きのための文学系マンガ」の紹介をしました。
そして今回は
文学好きでない人でも文学に興味を持てるきっかけのマンガ!
を3作品(+2022年放送のアニメ)紹介します。
「楽しく読める文学系マンガ」&「読んでおくと絶対得する漫画」を選んでいますので、軽い気持ちで手に取ってもらいたいです。
それでは、どうぞ!
- 文学好きでなくてもあまり難しく考えずに読める文学系マンガを2作紹介
- 読んでおくと絶対得をする文学系マンガ1作を紹介
それぞれお試し読み・動画などにリンクしています
『異世界失格』~玉川上水で心中に失敗したとある文豪が転生
『異世界失格』(原作・野田 宏/作画・若松卓宏)は、小学館ビッグコミックスから発売されている、「心中に失敗したとある文豪」が、異世界に転生し活躍するお話です。
2022年1月現在5巻まで発売されています。
異世界転生小説が最近は溢れていますが、このマンガは、それを逆手に取った転生アンチの作品です。
この世界の転生者は皆チートスキルを与えられているため、横柄です。
そんな世界に、「昭和23年6月13日に玉川上水で心中に失敗した主人公のセンセー」は転生します。
ただし、最弱。解毒してもなぜかHP1の猛毒状態です。
ただ、その最弱さをセンセーは、「それこそ、僕の人生だ」と言い、また死に場所を探しに旅立って行きます。前世と全く変わりなく、自分のポリシーを過ごしています。
\作者様のツイッターから試し読みができます/
#次にくるマンガ大賞
— 若松卓宏 @恋せかアニメ化、異世界失格 (@touku43) June 19, 2020
Webマンガ部門に『異世界失格』がノミネートされました!https://t.co/M0Hb8T5xaB
こんなお話です↓
【玉川上水で心中しようとした文豪が、トラックにはねられて異世界転生する話】(1/12) pic.twitter.com/4pNBnXGLNi
文豪小ネタも所々でてきます。
けれどそれだけではなく、小説家の視線みたいなものが主人公のセンセーにはあります。
転生時に神官が「不幸な前世を捨てて、こちらに転生おめでとうございます」と言うのですが、センセーはそれに対して「人が不幸かどうか勝手に決めるなど、おこがましいにも程がある」と返したりします。
出来事を一方からだけではなく、それを題材にするために、いろいろな面から見ようとするのは小説家の眼です。
そのように考えると不幸はただの不幸ではなくなります。
ちなみに、「昭和23年6月13日に玉川上水で心中」した実在の文豪が、不幸について語っている文章があったので参考までに載せておきます。
作家がいけないのである。作家精神がいけないのである。不幸が、そんなにこわかったら、作家をよすことである。作家精神を捨てることである。不幸にあこがれたことがなかったか。病弱を美しいと思い描いたことがなかったか。敗北に享楽したことがなかったか。不遇を尊敬したことがなかったか。愚かさを愛したことがなかったか。
太宰治『緒方氏を殺した者』より抜粋
この不幸についての文章は、主人公のセンセーの感性と近いと思います。
『異世界失格』(太宰治の作品名『人間失格』より)というタイトルも、お話ときちんと繋がるので、「おおっ!」と思うものがありました。文豪転生作品。オススメです。
『あさきゆめみし』~日本人なら必須!『源氏物語』をマンガ化
『あさきゆめみし』(大和和紀 著)は紫式部の『源氏物語』をマンガ化した作品です。
単行本(全13巻)をはじめ、大型版(全7巻)、文庫版(全7巻)、完全版(全10巻)など何度も版を変えて刊行されています。
それらのシリーズ累計発行部数は2021年11月時点でなんと1800万部突破!
海外向けに各言語にも翻訳されています。
2021年から作者様の画業55年を記念して、さらに新装版(全7巻予定)の出版が始まりました。
古典の授業や勉強に役に立つ作品だと言われていて、2015年から始まった『これも学習マンガだ!』プロジェクトでも、文学の部で取り上げられています。
\平安時代の息吹に触れる/
— これも学習マンガだ!~世界発見プロジェクト~ (@mng_edutainment) April 14, 2020
驚くほど自然な形でビジュアル化された源氏物語の世界へ
「あさきゆめみし」(講談社)著者:大和 和紀https://t.co/Vb5Cz3enXb#源氏物語#あさきゆめみし#自宅学習 #これも学習マンガだ
けれどテストに役立つだけでなく、日本人ならどんな年代のかたでも読んでおいた方がいい作品です。
源氏!一度は読んでおいた方がいいです!
聞いた話ですが、日本語学校の生徒が教師に
「先生は、日本人だから源氏物語は読んでますよね。どの姫が好きですか?」
と聞いてきたそうです。
原作は覚えていませんでしたが、その人はこの『あさきゆめみし』を読んでいたので、それを思い出して答えることが出来たそうです。そういう機会はいつ来るかわからない。恐ろしい…。
古文の時間には『源氏物語』は一部しか取り上げないので全体の人物のつながりがわかりにくいですが、マンガで一度読んでおくと、
- 登場人物がどんな人か(名前・性格・立場・血縁関係)
- そのシーンのビジュアル
が思い出せるので、古典に戻った時にも役立ちます。
それと、続けて読むと
1000年以上も前に生きた紫式部が、女性の生き方についてすごく考えていた
ということに気が付いてハッとします。
古典つながりのアニメ情報になりますが、2022年1月から3月に、『平家物語』が放送されました。
古典をわかりやすい形で紹介してくれるのはうれしい!
日本人なら知っておきたい作品なのでこれも要チエックです。
アニメ『平家物語』公式サイトはこちら
こちらは公式PVです。鈍い色味がすごく綺麗。
『文豪ストレイドッグス』~アニメ第四期決定の人気作品
『文豪ストレイドッグス』(原作・朝霧カフカ/作画・春河35)は、KADOKAWAから発売されている人気作品です。本編のみで、2022年1月現在 21巻まで刊行されています。その他さまざまな外伝も出版されています。
文豪と同じ名前を持つキャラクター達が、「武装探偵社」「ポートマフィア」「組合(ギルド)」など様々な立場に分かれて異能力を使って戦うバトルアクション漫画です。
アニメは先日、第4期の製作が発表。また、ノベライズ化・舞台化・ゲームアプリ化など、いろいろメディアミックスもされています。
- 多数のキャラクターの名前(中島敦・太宰治・芥川龍之介)など
- 能力の技名(人間失格・羅生門)など
- キャラクターの好きな物など
に実在の文豪の名前やエピソード・作品を取り入れているので、自然と調べていろいろな作品を読みたくなります。
文豪の名前や作品名を使用しつつの異能バトルものなので、純粋な文学ファンからは微妙と思われる部分もあるようです。けれど、これも文学に興味を持っていない人へのきっかけの一つですよね。
…そんな私でも、現代作家の綾辻行人・京極夏彦・辻村深月が出てくる外伝があると知った時は驚いた!
今活躍している作家さんが、登場人物として闘う異能バトルがあるなんて…。
ミステリ系の小説家のかたって、たぶん根本的に人を驚かすのが大好きなんだと思います。
↑これはマンガでなくてノベライズです。
『文豪ストレイドッグス』。ただ一つだけ注意したいのは、このマンガの中で好きでないキャラクターがいたとしても、それを現実の文豪とは結び付けて欲しくないなぁ、ということ。
そこで作品を毛嫌いするのはもったいないし、美しく純粋な存在からいつの間にか嫌われたなんて知ったら、雲の上でダメージを受ける系の文豪がいると思います。
これは第一弾のアニメPVです。
アニメの1~3期はアマゾンプライムの見放題で観ることができます。(2022年1月現在)
アマゾンプライムで確認する場合はこちらからどうぞ。
Amazon Primeを確認
まとめ
今回は「文学に馴染みがない方にもおすすめしたい文学系マンガ」ということで3作品をご紹介しました。
別の記事では「文学・文豪にすでに興味がある人に熱く勧めるマンガ」を5作品紹介しています。
よかったらこちらもご覧ください。
>>文学好きにこそ真剣におすすめしたい「文学・文豪系マンガ」5選